序

とある肌寒い秋夜のことでございます。
娘は電脳空間にて読み物に耽っておりました。

『判じ物と龍達』

娘が大層お気に入りの絵合わせ遊びの名前でございます。

「天鈿女命という神が甚だ強いとありますわね……
ならば技巧を上げて差し上げますわ」



娘はおもむろに林檎會社の愛筒を取り出したのでありました。

「怒鳥？ここで紅鳥とやらを蒐集すればよろしいのですね」

娘は呟きながら周回し、数匹の紅鳥を集めることに奏功。
技巧加増弐倍を待ち、此節組付し始めたのでございます。

「いきますわよ」



「あらあら！」



「まぁまぁ！！」



「よろしくてよ！！！さすがわたくしですわね」

娘は我を忘れてはしゃいだのでございます。
よもや後々起る事変を気色取るはずもございません。



「次の神参ります」



「ま、そんなものよね」



「猫さん？かしら。参ります」



「素晴しいじゃない！」



「え？」



「ええ？」



「ぎゃぁぁぁぁぁぁ！！！」

予想だにしない結末に娘は震えおののき、 ぽつりと言葉を発したのでございます。

「わたくしもう……一生分の運は使い果たしましたのね……」

終